黒豆茶の効果を調べていくと、むくみ、冷え、便秘、白髪、更年期と、ずいぶん幅の広い話が出てきます。全部に効くお茶があるとしたら、それはもうお茶ではありません。実際のところ、どこまでが確かめられていて、どこからが期待の話なのか。飲む杯数や淹れ方も記事ごとに数字が違うので、出どころの分かるものだけを並べ直しました。
効くのではなく、体の調子を支える飲み物
先に立ち位置をはっきりさせておきます。黒豆茶は食品であって、症状を治す薬ではありません。健康食品の記事で「効果」と書かれているものの多くは、成分の働きから期待されていること、という意味になります。

黒豆に入っている成分は、アントシアニン、大豆イソフラボン、大豆サポニン、カリウム、食物繊維とオリゴ糖、ビタミンB群。焙煎した豆をお湯で出すと、このうち水に溶けるものがお茶のほうに移ります。
ここから先は、どの成分がどの困りごとに関わっていると説明されているのかを、成分ごとに分けて見ていきます。自分が気になっている項目だけ拾って読んでもらってかまいません。
| 気になること | 名前が挙がる成分 |
|---|---|
| むくみ | カリウム、アントシアニン |
| 冷え | アントシアニン、大豆サポニン |
| 便通 | 食物繊維、オリゴ糖 |
| 更年期やPMSの不調 | 大豆イソフラボン |
| コレステロールや血糖値 | 大豆サポニン、食物繊維 |

気になる項目が2つ以上あるなら、黒豆茶は試す価値があります。1つだけなら、その困りごとに合った方法のほうが早いこともあります。
むくみに名前が挙がるのはカリウム
黒豆茶の効果でいちばん多く語られているのが、むくみに対する働きです。理由はカリウムというミネラルにあります。
体に塩分が入りすぎると、濃さを薄めるために水分をためこみます。これがむくみです。カリウムには、余分になったナトリウム、つまり塩分を尿と一緒に外へ出す働きがあります。塩分が抜ければ、ためこんでいた水分も一緒に出ていきます。
東急ふるさとパレットの記事に、人で調べた報告が紹介されていました。むくみを自覚している女性20名が黒大豆のポリフェノールを取ったところ、夕方の脚のむくみが改善したそうです。人数は多くありませんが、推測ではない話になります。
立ち仕事の人や、夕方になると靴がきつくなる人は、この項目を目当てに飲んでみる価値があります。ただし利尿の働きがあるので、夜に何杯も飲むとトイレで起きることになります。
冷えと血のめぐりはアントシアニンとサポニン
冷えについては、血のめぐりを良くする方向で名前が挙がるのがアントシアニンと大豆サポニンです。ただし、ここは記事によって説明の強さがかなり違いました。
アントシアニンは黒い皮の色素で、ポリフェノールの仲間になります。強い抗酸化の働きがあるという点は、どの記事にも共通して書かれていました。えんめい茶本舗の記事では、黒豆のアントシアニンはビルベリーの3倍と書かれています。
大豆サポニンは豆の苦みと渋みのもとです。血液の流れをよくする、コレステロールを外に出す、肝臓を助けるといった働きが挙げられていました。
気をつけたいのは、これらが「冷え症が治る」という話ではないところです。温かい飲み物を飲めば体は温まります。そこにアントシアニンの働きが乗るかもしれない、というのが実際のところになります。冷えが強く出ている場合は、お茶より先に医療機関で相談してください。
女性の不調で語られるのは大豆イソフラボン
PMSや更年期の話で必ず出てくるのが大豆イソフラボンです。女性ホルモンのエストロゲンと構造が似ていて、体の中で似た働きをします。
内閣府食品安全委員会の説明を見てみます。この働きで骨粗しょう症の予防や更年期障害の軽減に有用と言われている、と書かれていました。断定ではなく、言われているという書き方になっています。
閉経の前後5年ほどはエストロゲンが減っていく時期です。ここで足りない分を補う方向に働くため、ほてりやのぼせ、イライラといった不調が軽くなる場合があると説明されています。
飲みすぎについても触れておきます。競合記事の中には、取りすぎると乳がんのリスクが上がる可能性があると書いているものがありました。ただし食品安全委員会の資料にその記載は見当たりませんでした。確かめられているのは、閉経後の女性が錠剤で1日150mgを5年続けた試験で子宮内膜増殖症が多かった、という話までです。お茶を飲む量とは桁が違います。
熱湯で淹れると効果が下がるのか
ここが今回いちばん書きたかったところです。黒豆茶の淹れ方について、競合記事の言っていることが真っ二つに割れています。
東急ふるさとパレットの記事は、熱湯を直接使うのは避けるべきで、50度から60度が理想と書いています。ポリフェノールが高温で壊れるから、という理由です。
一方で甘納豆かわむらの記事は、アントシアニンは熱で崩れないと書いています。むしろ水に溶けやすいので、煮出すと多く出てくるそうです。ティーライフや富澤商店の作り方も、炒った豆に熱湯を注ぐ手順でした。
どちらが正しいのか、公的機関の資料では確認できませんでした。分からないことは分からないまま書きます。そのうえで現実的な線を出すと、次のようになります。
- 豆から作るなら、熱湯を注ぐか煮出す。水に溶ける成分を出すには、ある程度の温度と時間が要ります。
- ティーバッグなら袋の表示どおりに淹れる。メーカーが自社の製品で確かめた条件が書いてあります。
- そのまま飲むには熱すぎるときだけ、少し置いて冷ます。飲みやすさを優先してかまいません。
成分の何割が残るかを家庭で測る方法はありません。毎日続けられる淹れ方を選ぶほうが、温度を1度単位で気にするより結果につながります。
1日3杯を朝と昼と夜に分ける
杯数についても、記事ごとに数字がばらついていました。甘納豆かわむらは1日2杯から3杯、MELOSは1日3杯、東急ふるさとパレットは3杯から4杯。重なっているのは3杯なので、まずは1日3杯から始めるのが無難です。
1回にまとめて飲まないほうがいい理由もあります。東急ふるさとパレットの記事によると、ポリフェノールは取ってから2時間ほどで働きが高まります。そして4時間ほどで下がっていくそうです。朝と昼と夜に1杯ずつのほうが、この時間の並びに合います。
飲むタイミングは食前か食事中がおすすめです。アントシアニンには食後の血糖値の上がり方をゆるやかにする働きがあると説明されています。むくみ狙いなら昼食のあと、冷え狙いなら寝る前に温かいものを。
煎り豆で作った場合は、出がらしの豆も食べてみてください。食物繊維とたんぱく質は豆のほうに残っています。塩を軽くふるとそのまま食べられますし、ごはんに炊き込む使い方もあります。
効果より先に確かめたい体質と薬
最後に、飲む前に止まってほしい人の話です。大豆アレルギー、腎臓の病気でカリウムを制限中、薬を飲んでいる。この3つのどれかに当てはまるなら、自分で決めないでください。
- 大豆アレルギーがある人。黒豆は大豆の仲間なので、じんましんやかゆみ、息苦しさが出ることがあります。
- 腎臓の機能が落ちていてカリウムやリンを制限している人。カリウムを外に出しにくくなっているため、えんめい茶本舗の記事でも勧められていませんでした。
- 血液を固まりにくくする薬や甲状腺の薬を飲んでいる人。飲み合わせの心配があるため、主治医に伝えてから決めてください。
- 貧血が気になる人。お茶に入っているタンニンが鉄の吸収をじゃまするので、食事とは時間をずらしたほうがよさそうです。
妊娠中については、記事によって書き方が違いました。食品安全委員会が推奨できないとしているのは、トクホやサプリで日常の食事に上乗せして取る場合です。豆腐や納豆のような大豆食品そのものを控えるようにとは書かれていません。それでも心配な時期であることに変わりはないので、かかりつけの医師に一言聞いておくと落ち着いて飲めます。

効果を急いで杯数を増やすより、1日3杯を続けるほうが体に負担がかかりません。
YURI多くの製品をレビューしてきたガジェットライター。資格勉強にiPad+互換ペンを愛用しています。販売店などからリサーチして最新の情報をお伝えするように努力しています。


